20211031_163449_HDR 三菱新型アウトランダーPHEVがついにモデルチェンジです。
初代のPHEVから8年です。 初代PHEVアウトランダー乗りとして新型の実車の触感を確かめたくて本社ショールームまでつい足を延ばしてしまいました。
いろいろなメディアがこの車を紹介していますけど、車のライターさんがほとんど触れていないこの車の推しポイント!ぜひ検討中の方にもお伝えしたい。
ということで どうアウトランダーPHEVがいいのかって「世界中の他のPHEVと違うんだよねっ!」て言えるところが一つあると個人的に思ってます。
それが「コースティング

きちんとコースティングできる国産車はアウトランダーPHEVとエクリプスクロスPHEVだけなんじゃないかと思う。

色々なモータージャーナリストが三菱のPHEVの走りの凄さや素晴らしさを謳ってくれているけれど、走り屋さんじゃないふつーのオジサンにとって、ドリフトがどうやら、ハンドリングがどうやら言われてもピンとこない。
多分普通のドライバーにとっては、アウトランダーPHEVの新型が、なんで、RAV4PHVよりも大きな蓄電池を積みながら、電動車走行距離が90kを超えなかったンんだよーっとか、結局トヨタのハイブリッドシステムの燃費にはかなわないんだよねとかカタログ上の数値に一喜一憂してしまうのではないかと思う。
確かにカタログ上のRAV4phv燃費WLTC燃費で
同じ4WDモデルのハイブリッドX / ハイブリッドGで20.6km/Lなのに対し
アウトランダーPHEVはWLTC燃費でMグレードで16.6km/L
それ以上のグレードだと16.2km/Lなのだから、

1Lあたり4kmも水を開けられている。

アウトランダー乗りとしては正直悔しい。というかうらやましい。たかが4kmなんだけどね。

でもアウトランダーPHEV(とエクリプスクロスPHEV)には魔法のスイッチが付いている。
ほとんどのエコカーでは燃費を向上するための涙ぐましい努力を、にわか環境実践家に変身して修行僧のごとく努力し始めるのだけれど、その努力はほとんど報われない。
(発進をソフトにしてアクセルを上げないようにしたり、流れを見ながら早めにアクセルオフしたり、運転中アイドリングストップしたりって奴だね)

つまり努力のわりに燃費は向上しないんだよね。

でもアウトランダーPHEVはカタログ燃費以上に燃費を上げる方法が存在しちゃったりする。

これってガソリン車乗り評論家がぶった切るように書き上げる、走行中電気で走ってるから等価EV走行換算距離で100k超えるよねっていう屁理屈ではなくて

たとえ電気残量が無くなっても燃費を稼げる方法があったりする。

それが「コースティング」。滑走・空走・慣性(惰性)走行という意味なんだけど
要するに車に全く動力がかからない状態で車の運動エネルギーだけで惰性走行すること。

  これは普通のガソリン車では、アクセルを踏まない状態でもアイドリングしているから、わずかとはいえガソリンを消費してしまう。クラッチが切れた状態ならエンジンブレーキがかからないので、そういった制御を行っている車もたしかに存在しますが(欧州車の高級車にあるらしいけど乗ったことない)基本走行中にアクセルを踏まない間エンジンが止まるガソリン車はないわけで、ハイブリッド車とかにはそういったことをアクセルワークで実現できるものもあったりする(らしい)。

でも何十キロもエンジンがかからないまま走行できるハイブリッド車は存在しない。

でもこのアウトランダーPHEVという車は、ハンドル内のパドルシフトスイッチをポンポン押していくと B0(ゼロ)モードにすることができる。

このモードは内燃機関エンジンが停止して、アクセルを踏まなければ走行モーターに電力供給がされない状態になる。さらに回生ブレーキ機能つまりモーターの抵抗で運動エネルギーを電気エネルギーとして回収する能力も0(ゼロ)になるのでその走りは、本当に滑り降りる慣性走行の走りになるのだ。

自転車で坂を登った後、坂道をどこまでも滑り降りていく、そんな爽快感を味わえるのがこのB0(ゼロ)モード。坂道を自転車で下るなんて例えをすると、カーブの減速とかどうするのって思われるかもしれないけど、そこはパドルシフトのボタンをB0からB5まで変えていくことで車に対する回生ブレーキの量が変わるので、ブレーキを踏むことなくカーブで好みの速度に原則、加速はB0モードに戻すというドライビングが楽しめる。

下り坂が続く道では、回生ブレーキを利かせれば、充電量が増えて、EV走行距離はどんどん増えていく。エンジンは停止したままだから走行距離あたりの燃費はEV走行しなくても限りなく増えていく。

だからアウトランダーPHEVに乗っていると燃費を気にするのが馬鹿らしくなってくる。これは坂道だけの特典ではない、車は一定の速度で走っていると車重に比例して慣性エネルギーも増加する。アウトランダーの2tもの車重が走り始めてしまえば、ものすごい慣性エネルギーを消費することでエンジンが止まったまますーっと滑るように走り続ける。アクセルを踏まなければその間電気も使わない。停止にはパドルシフトでブレーキを使わずに回生エネルギー量を調節することで減速させるので逆に走行用の電力量は増える。

もちろんこのやり方は後続車からすれば、ブレーキランプが付かないのに急に車が減速するわけだから車間距離を詰めて走っていたりしたら危ないに違いない。だから走行量の多い道路ではあまりお勧めできない。

とはいえこのパドルシフト操作によるコースティング走行ドライブは、風を切って車を操るという表現がふさわしい爽快な走りを、走り屋ではないオジサンにも与えてくれる

カーブや坂道の状況によってマニュアル車のシフトドライブによるエンジンブレーキ操作のような運転テクニックを楽しみながら、燃費がどんどん上がっていく。 毎日の運転でこんな楽しみを味わえる車を私は他では知らない。

新型のアウトランダーPHEVには日産譲りのワンペダルドライブ機能がついた(三菱ではこれをイノベーティブペダル オペレーションモードと呼ぶ。覚えられないよねこれ) でもこんな機能が搭載される前から、アウトランダー乗りは指先チョイチョイとパドルシフトを操って、ブレーキペダルを極力踏まないドライビングで燃費を向上させてニマニマしながら走っていたのだ。

実は新型アウトランダーの発表画像で目を皿のようにして注目していたのも
ちゃんとパドルシフトがそしてB0モードが健在なのか!」という事だったりしたのは私だけだろうか、いやそんなことはあるまい。全国のエコドライブ探究者はみんな心の中で思っていたに違いないのだ。

かくして新型アウトランダーPHEVのカタログスペックにきちんと記載されていた[B0]回生ブレーキモードを確認して、三菱の販売店に注文を即決で入れてしまったのであった。